前回の記事で「トレンドライン」について解説しましたが、本記事ではライン分析の第2弾「水平線(サポレジライン)」についてご説明していきます。
こちらもテクニカル分析の基本中の基本となっており、効果的な水平線を引けるようになると、トレードの勝率も大きく向上します。ぜひ、マスターしてくださいね。
Contents
水平線(サポレジライン)とは
水平線とは文字通り、チャートの水平方向に引いた直線のことです。過去に何度も抵抗を受けている価格を視覚的に把握するために用いられます。水平線は「サポートライン」と「レジスタンスライン」の2種類に分類でき、合わせて「サポレジライン(レジサポライン)」とも呼ばれます。それぞれが買い手と売り手の防衛線となりますので、ポジションを保有している時にも、これからポジションを建てようとしている時にも意識されやすいポイントです。
サポートラインとは、下値支持線とも呼ばれ、下落の流れを食い止めるライン。買い手の防衛線となる。
レジスタンスラインとは、上値抵抗線とも呼ばれ、上昇の流れを食い止めるライン。売り手の防衛線となる。
なぜ、水平線が「効く」のか?
以前の記事でもお伝えしましたが、FXの相場は投資家の心理によって動かされています。トレンドライン、水平線、インジケーターといったテクニカル指標は、意識している投資家が多いほど機能しやすくなります。RSIやボリンジャーバンドなどといったインジケーターは、意識していない投資家も多く、期間や数値の設定も人それぞれです。だから、機能する時、しない時の差が激しいのです。一方で水平線(サポレジライン)はとても多くのトレーダーが意識しており、複雑な計算式もなく、価格という普遍的な数値に目印をつけるため、機能しやすいという利点があります。どんなトレード手法にもマッチしやすく、中には水平線とローソク足だけでトレードをしている一流トレーダーもいるほどです。
水平線を引く際は、多くの投資家に意識されているラインを引けるかが重要となります。何度もトライしていくうちに、よく機能するラインを引けるようになりますので、どんどんチャートにラインを入れて練習してみてくださいね。
水平線の引く時のポイント
多くの投資家に意識されるラインを引くことが重要と申し上げましたが、ここからは水平線を引く時のポイントについてご説明していきます。
ざっくりとポイントは2つ。「直近でブレイクされていない高値、安値」「チャートに節目を形成している価格帯」です。例を用いて実際のチャートに水平線を入れながらご説明していきます。
①直近でブレイクされていない高値、安値に引く
①はサポレジラインの基本中の基本で、まだブレイクされていない高値や安値に引く水平線です。実際のチャートにラインを入れると上図のようになります。
②過去のチャートで節目を形成している価格帯
②は過去の値動きにおいて、高値や安値の基点となった価格にラインを引く水平線です。「節目」がわかりにくい場合は、「過去に2回以上抵抗を受けて高値や安値を形成している」ことを条件にすると良いでしょう。上図を見ていただくと、同じラインで何度も抵抗を受けてチャートの「節目」を作っていることがわかると思います。
さらに、水平線はブレイク後も意識されやすいという特徴があります。
つまり、
サポートラインはブレイク後にレジスタンスラインとして
レジスタンスラインはブレイク後にサポートラインとして
機能しやすい(役割が逆転する)ということです。
ですから、一度引いた水平線は、ブレイク後も残しておくようにしましょう。
【プラスα】機能する水平線を引くためのコツ
前述した2つのポイント「ブレイクされていない高値、安値」「節目を形成している価格帯」が水平線の基本ですが、さらに以下の2つのポイントを意識すると、より機能する水平線を引くことができます。
①長い時間足から順番にラインを引く
水平線は基本的にチャートを見ている投資家の数が多いほど機能しやすくなります。したがって、1時間足、4時間足といった短い時間軸のチャートより、日足、週足といった大きな時間軸のチャートの方が見ている投資家の数も多く、水平線が機能しやすくなります。
トレードスタイルにもよりますが、メインで見ている時間足の二つぐらい上の時間足から順番にラインを入れると良いでしょう。例えば、4時間足、1時間足をメインにトレードをする場合は週足、日足、4時間足、1時間足の順にラインを入れるといった具合です。
大きな時間軸の水平線の方がよく効くので、引いたラインは時間軸ごとに色や線の太さを分けておくと、そのラインの強弱がわかりやすくなります。
上図では週足:オレンジ、日足:ピンク、4時間足:水色、1時間足:グレー、のラインを引いています。
②ローソク足の実体に引くか?ヒゲの先端に引くか?
水平線をローソク足の実体に合わせて引くか?ヒゲの先端に合わせて引くか?は投資家によって好みが異なります。トレンドラインについての記事でもご説明しましたが、海外の投資家はローソク足ではなく、バーチャートを使っていることも多いので、ヒゲの先端を基準にするのがオススメです。
実際に水平線を引いてみよう
ここまで、水平線の引く時のポイントやコツをご紹介してきましたが、ここからは具体的にイメージしやすいよう、実際のチャート(ドル円)に水平線を入れていきたいと思います。4時間足や1時間足をメインにトレードすることを想定して、週足、日足、4時間足、1時間足に水平線を引いていきます。
週足チャート
まずは、週足チャート。ここでは6本の水平線(オレンジ)を入れています。
①過去に2度レジスタンスされている高値です。このチャートに表示されている6年弱の値動きの中での最高値となっていますので、多くの投資家に意識される可能性が高い価格帯となります。
②直近でブレイクされていないことに加え、過去にはサポートラインとしても機能しています。
③直近でレジスタンスされている高値です。週足チャートではこの価格帯に直近で5回弾き返されていますので、投資家からかなり強く意識されていることが伺えます。
④2019年1月の「フラッシュクラッシュ」と呼ばれる大きな下落を食い止めたサポートラインです。サポートを受けた2回以前にも、高値や安値として節目を形成しています。
⑤過去に何度もサポートを受けている価格帯です。④のラインがブレイクされた場合、次に意識される可能性が高い水平線となっています。
日足チャート
週足チャートにはオレンジの水平線を入れましたが、日足チャートとなるともう少し目安となる水平線が欲しいところです。ここからは日足チャートに水平線(ピンク)を入れていきます。
①過去に高値や安値として節目を形成しており、大きな下落のきっかけとなったネックラインとなっています。現状の上昇が続いた場合は、次に抵抗帯として意識される価格帯となります。
②直近ではレジスタンスラインとして機能していましたが、ブレイクされている110円の節目です。キリの良い価格は節目として意識されやすく、過去にも上昇や下落の基点となっています。その直上には新規や損切りの買い注文が溜まりやすく、直近で上抜けした時も大きな上昇に繋がっています。
③直近で確認できる上昇トレンドの安値切り上げとなった価格帯です。過去に何度もサポートを受けて、大きな上昇のきっかけとなっています。
④2019年始の大きな下落(フラッシュクラッシュ)によってブレイクされていますが、昨年は節目として機能し大きな上昇の基点となっています。
4時間足チャート
週足、日足に水平線を入れたので次は4時間足です。日足チャートに引いた水平線のおかげで、だいぶ見やすくなっていますが、さらに4本の水平線を引いて節目に目星をつけていきます。
①過去に何度もレジスタンスされており、節目となっている価格帯です。
②上図の左側の期間において節目として意識されてきた価格帯です。大きな下落を引き起こすネックライトとしても機能しています。
③過去に何度もサポートを受けている価格帯です。②のブレイク後に③のライン付近で揉み合い、ブレイクをきっかけに下落が加速していることがわかります。
④上図の中央部のフラッシュクラッシュと呼ばれる暴落の後、2度のサポートを受けて大きく上昇するきっかけとなった価格帯です。
1時間足チャート
最後に1時間足に水平線を入れていきましょう。ここまで引いた水平線によってかなり見やすくなっていますが、1時間足で節目となった価格帯にさらに2本のラインを追加しています。
①日足で引いた110円の節目をブレイクする前に、サポートを受けていた価格帯です。過去には高値としても節目を形成しており、意識されていることがわかります。
②上図の左側では何度もサポートを受けていますが、ブレイクと同時に大きな下落を呼んでいます。
週足→1時間足
ここまで週足、日足、4時間足、1時間足に入れた水平線とともにそれぞれのチャートを一覧で表示すると下図のようになります。
水平線によって為替レートの推移が階層に分けられ、見やすくなったかと思います。水平線の色やラインの太さを分けておけば、そのラインの強弱もわかるのでトレードの際の目安となります。
誰でも無料で利用できる取引ツール「MT4」や「MT5」では、4時間足で引いた水平線を日足や週足に表示しないようになど、時間足ごとに水平線やインジケーターの表示・非表示を設定できる機能が付いています。それぞれのチャートがごちゃごちゃしない程度に表示設定を変えるのがオススメです。
水平線を利用したトレード
機能する水平線を引けるようになると、そのラインをトレードに活かすことができます。多くの投資家が意識する節目ラインを基点にしてエントリーすれば、トレードの勝率もアップするでしょう。
サポートラインを利用したトレード
サポートライン際では、次も反発されると思って買いたい投資家、ブレイクされたら売りたい投資家の思惑が交錯しており、直上に買い注文、直下に売り注文が溜まりやすくなります。
したがって
「水平線のサポートを受け安値を切り上げたら押し目買い」
「ブレイクされたら売り注文」
といった戦略を取ることができます。
レジスタンスラインを利用したトレード
レジスタンスライン際では、次も反落すると思って売りたい投資家、ブレイクされたら買いたい投資家の思惑が交錯しており、直上に買い注文、直下に売り注文が溜まりやすくなります。
したがって
「水平線のレジスタンスを受け、高値を切り下げのたら売り注文(戻り売り)」
「ブレイクしたら買い注文」
といった戦略を取ることができます。
利益や損失確定の目安にする
ポジションを持っている場合は、節目に引いた水平線を利益確定の目安にすることもできます。特に上位足のラインは意識されやすく、含み益のポジションを持っている投資家は手仕舞いを検討するポイントとなります。
また新たにポジションを建てる際には、損切りラインとして目安にすることもできます。買いポジションを建てるときはより厚いサポートラインの直下に、売りポジションを建てるときはより厚いレジスタンスラインの直上に損切り注文を入れると良いでしょう。
まとめ
最後にこのページのポイントをまとめます。
水平線とはチャートの水平方向に引いた直線。上昇や下降を食い止める抵抗帯を把握するために用いられる。
レートの下落を食い止めるラインを「サポートライン(下値支持線)」
レートの上昇を食い止めるラインを「レジスタンスライン(上値抵抗線)」
という。
水平線はチャートの横軸、つまり価格に引く直線なので普遍性が高く、多くの投資家に意識されている。チャートは投資家の心理によって動かされるので、多くの人に意識されるラインを引くことができればトレードを優位に進められる。
①直近でブレイクされていない高値や安値に引く
②過去のチャートに節目を形成している価格帯に引く
<プラスα>
☆大きな時間足から順に水平線を入れる
☆ローソク足の先端に合わせて水平線を入れる
☆節目となっている水平線が
安値切り上げの基点となれば買い注文(押し目買い)
高値切り下げの基点となれば売り注文(戻り売り)
☆節目となっている水平線を上抜けで買い注文、下抜けで売り注文
☆利益や損失確定の目安にすることもできる。
あらためて、水平線を理解、深めることができました。
ありがとうございます。
こちらこそ読んで頂き感謝いたします。野崎