株式市場や為替市場の相場環境は「トレンド相場」と「レンジ相場」の2つに分類できます。トレードをする前に相場環境を把握しておくのはとても重要なことです。このページでは、「トレンド相場」と「レンジ相場」の特徴やそれぞれの相場でのトレード戦略について解説していきます。
Contents
トレンド相場とは?
トレンドとは為替相場の大きな流れのことを指し、トレンド相場とは上昇、下降どちらかに勢いのある相場環境のことです。
長いスパンで上昇を続けている状態を「上昇トレンド」、逆に下降を続けている状態を「下降トレンド」といいます。
為替相場は一度ある方向に動き出すと、しばらくはその方向に動き続けるという特性があります。トレンドを把握して、その流れに逆らわないトレードを心掛けることが大切です。
トレンドの判断は投資家によって異なり、明確な定義はありません。しかし、相場は大衆心理によって動いていますので、多くの投資家が注目するトレンド分析の基本を知っておく必要があります。ここからは、いくつかの代表的なトレンド分析をご紹介していきます。
トレンド分析①ダウ理論
ダウ理論とは、テクニカル分析の父と呼ばれるチャールズ・ダウ氏が提唱した株式や為替の市場での値動きを評価するための理論です。6つの基本原則で構成されていますが、ここではその中の一つ「トレンドを把握する方法」についてご紹介します。
ダウ理論ではトレンドの条件が以下のように定められています。
高値と安値が切り上がっていれば「上昇トレンド」
高値と安値が切り下がっていれば「下降トレンド」
高値とは相場のうねりの中で「山」になっている価格、安値はその逆で「谷」となっている価格です。
見ている時間足によっても高値や安値の認識は異なりますが、ダウ理論は多くの投資家が注目しているトレンド分析の基本です。
トレンド分析②トレンドライン
トレンドラインとはチャートの基点となる高値(山)や安値(谷)同士を結んだ線のことです。
主要な安値(谷)同士を結んで引いた右肩上がりのラインを「上昇トレンドライン」
主要な高値(山)同士を結んで引いた右肩下がりのラインを「下降トレンドライン」
といいます。
ダウ理論と同様に、多くの投資家がチャートにトレンドラインを引いて注目していますので、トレンドラインに沿って上昇・下落が起こることも多々あります。何度もトレンドラインを引いているうちに、より意識されている(機能する)ラインを引けるようになります。チャートにトレンドラインを追加する機能はほとんどの取引ツールに標準で搭載されていますので、あなたのチャートにもぜひラインを引いてみて下さい。
トレンド分析➂移動平均線
移動平均線とは、過去一定期間の終値の平均値を結んだ曲線のことで、こちらもトレンドの把握によく用いられます。最も一般的なのが20~25期間の移動平均線(過去20本分のローソク足の終値の平均値を結んだ線)です。
移動平均線でのトレンド分析で見るべきポイントは「移動平均線の向き」と「ローソク足の位置」です。
移動平均線が上を向いており、ローソク足が線の上側に位置していれば上昇トレンド
移動平均線が下を向いており、ローソク足が線の下側に位置していれば下降トレンド
FXのトレードをする上で「トレンド」は大変重要で、トレンドの流れに逆らって大きく利益を伸ばすのは至難の業です。買い手優勢の上昇トレンドの時は買いポジション、売り手優勢の下降トレンドの時は売りポジションを建てるようにし、その時々の勝ち馬に乗っていくことが成功への近道です。上記で紹介したトレンド分析を駆使して、トレンドの流れに沿ったトレードをしてみてくださいね。
トレンド相場での取引戦略
「トレンドに逆らっちゃいけないのはわかったけど、実際どこで取引をすれば良いの?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。ここからは、実際にどのようなところでエントリーすると利益を上げやすいのか?をご説明していきます。
トレンド相場の取引戦略① 「押し目買い」
押し目とは、上昇トレンド中の一時的な下落のことです。その下落(押し)がひと段落して、再度上昇に転じるところで買いポジションを建てることを「押し目買い」といいます。
下落しているときに買うのではなく、安値の切り上げを確認してから(ちょびっと上がってから)買うのが成功の秘訣です。
先ほど紹介した20期間の移動平均線は、安値の切り上げポイントになりやすいので、チャートに表示させて注目しておくと良いでしょう。
トレンド相場の取引戦略② 「戻り売り」
戻りとは、下降トレンドの中の一時的な上昇のことです。その上昇(戻り)がひと段落して、再度下落に転じるところで売りポジションを建てることを「戻り売り」といいます。
一時的な上昇をしているときに売るのではなく、高値の切り下げを確認してから(ちょびっと下がってから)売るのが成功の秘訣となります。
押し目買いの時と同様に20期間の移動平均線付近が高値の切り下げポイントになりやすいので、注目しておきましょう。
レンジ相場(ボックス相場)とは?
レンジ相場(ボックス相場)とは一定の値幅を為替レートが行ったり来たりしており、相場に大きな流れ(トレンド)がない状態です。高値や安値の切り上げ、切り下げが不規則で方向感が見出しにくいことに加え、大きな値動きも無いので、利益を上げづらい相場環境といえます。トレンドが発生していないレンジ相場では積極的にトレードをせず、様子見に徹するというのも一つの手です。
レンジ相場の種類
レンジ相場には上下のラインの角度や広がり方によって、いくつかのパターンがあります。型を知っておくと取引に活かすことができますので、覚えておくと良いでしょう。
ペナント型(三角持ち合い)
ペナント型(三角持ち合い)は、上下のトレンドラインに挟まれながら、変動する値幅が収縮してくることが特徴です。上下どちらかが水平線の場合もあり、上限が水平線の場合は上方向に、下限が水平線の場合は下方向にブレイクしやすいという特性があります。
フラッグ型(平行チャネルレンジ)
フラッグ型(平行チャネルレンジ)とは、上下どちらかに傾いた平行線の間に挟まれながら為替レートが推移している状態を指します。旗の形に似ているのでフラッグ型と呼ばれています。
レンジ相場での取引戦略
レンジ相場で取引をする際、「一定値幅を行ったり来たりするのだから、上限付近で売り、下限付近で買えば良いじゃないか!」という考え方ももあります。しかし、実際にレンジ相場だったとわかるのは、ある程度の時間が経過してからであり、リアルタイムで売買チャンスを見つけるのはなかなか難しいでしょう。買い手と売り手が拮抗して乱高下しやすくなるので、初心者の方は特にレンジ相場の真っ只中でのトレードは控えたほうが無難かもしれません。ですからここでは、レンジ相場を抜け出す動き(ブレイクアウト)、抜け出した後の動きを狙う方法をご紹介します。
レンジ相場での取引戦略①ブレイクアウトを狙う
レンジ相場の上限と下限付近には、新規の売買注文やポジションを保有中の投資家の損切り注文が入っており、レンジ相場が長引くにつれ、その注文が溜まっていきます。上下どちらかに抜ける際には、それらの注文を巻き込んで大きな上昇・下落が起きやすくなるので、多くの投資家がその推進力を利益に変えようと狙っています。
レンジ相場での取引戦略②ブレイクアウト後の動きを狙う
レンジ相場のブレイクアウト後は、ブレイクした上限または下限まで戻ってくることが多いという特徴もあります。ブレイクアウトからの戻りを待って、その後の上昇、下降を狙うという方法もあります。
まとめ
最後にこのページのポイントをまとめます。
トレンドとは、為替相場の大きな流れのことを指し、トレンド相場とは上昇・下降いずれかの方向に勢いのある相場環境のこと。
長いスパンでレートが上がり続けている状態を「上昇トレンド」、下がり続けている状態を「下降トレンド」という。
①ダウ理論
高値と安値が切り上がっていれば「上昇トレンド」
高値と安値が切り下がっていれば「下降トレンド」
②トレンドライン
チャートの基点となる高値や安値同士を結んで引く線を「トレンドライン」という。
主要な安値同士を結んで引いた右肩上がりの線→「上昇トレンドライン」
主要な高値同士を結んで引いた右肩下がりの線→「下降トレンドライン」
➂移動平均線
過去一定期間の終値の平均値を結んだ曲線のことを移動平均線という。
20期間の移動平均線でトレンドを把握するのが一般的で
移動平均線が上を向いており、ローソク足が線の上に位置していれば上昇トレンド
移動平均線が下を向いており、ローソク足が線の下に位置していれば下降トレンド
上昇トレンドでは「押し目買い」、下降トレンドでは「戻り売り」が有効。
押し目買い…上昇トレンド中に見られる一時的な下落の後に買いポジションを建てること
戻り売り…下降トレンド中に見られる一時的な上昇の後に売りポジションを建てること
レンジ相場(ボックス相場)とは、一定の値幅を行ったり来たりしており、方向感のない相場環境。トレンドが無いので大きな利益を上げづらいことが特徴。
レンジ相場の上限と下限付近に新規や決済の注文が溜まりやすいので、上下どちらかに抜けた後は、相場に勢いが付きやすい。
このブレイクアウトの力を利用したり、ブレイクアウト後の再上昇、再下落を狙ったりするのが有効。
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