以前の記事(「テクニカル分析とは?」)でもご紹介しましたが、テクニカル分析をするにあたっては、過去の値動きをグラフ化した「チャート」というツールが必要不可欠となります。折れ線グラフ、バーチャート、ローソク足などチャートの値動き表示にもいくつかの種類があり、日本では「ローソク足」が主流です。このページでは、ローソク足の見方やそれを利用したチャート分析について解説していきます。チャート分析の基礎となる内容ですので、ポイントを押さえておいてくださいね。
Contents
ローソク足とは?
ローソク足とは1日や1時間といった一定期間の為替レートの変動をひとつの記号に表したものです。記号がろうそくの形に似ているので「ローソク足」と呼ばれています。
1本のローソク足には「始値」「終値」「高値」「安値」の4つの情報が詰まっています。
ローソク足は始値より終値が高く為替レートの上昇を示す「陽線」、始値より終値が安く為替レートの下落を示す「陰線」に大別できます。
始値と終値の間にあるローソク足の太い部分は「実体」または「柱」と呼ばれ、実体の上下にちょんと出た細い線は「ヒゲ」と呼ばれます。
ヒゲの付き方や実体の長さなど、ローソク足の形状も以後の相場動向を予測するうえで、大切な要素となります。
上図には、陽線の実体を白、陰線の実体を黒で表記していますが、陽線・陰線の色などのチャート設定は投資家によって異なります。上図の組み合わせの他に「陽線:赤、陰線:青」、「陽線:青、陰線:赤」といった組み合わせが一般的です。
チャートの時間軸
1本で1時間の値動きを示すローソク足で構成されるチャートは「1時間足」、1本で1日の値動きの場合は「日足」と呼ばれます。トレードスタイルによって、参考にする時間足を使い分けるのが有効です。
・スキャルピング(超短期売買)→5分足、1分足など
・デイトレード(短期売買)→1時間足、15分足など
・スイングトレード(中長期売買)→週足、日足、4時間足など
※トレードスタイルについてはこちらの記事で詳しくご説明しています。
トレードスタイルによって参考にするチャートを使い分けると申し上げましたが、ひとつの時間軸だけで売買の判断するのはよくありません。「1時間足では安値圏にあり、買いたい雰囲気であったとしても、日足で見るととんでもない高値圏だった」ということがよくあります。売買の判断をする際には、複数の時間軸のチャートを確認して、相場環境を把握しておいた方が良いでしょう。このように、複数の時間軸のチャートを確認して様々な角度から相場を分析することを「環境認識」といいます。
ローソク足の分類
ローソク足の形状はざっくりと「大陽線」「大陰線」「小陽線」「小陰線」「十字線」の5種に分類できます。
大陽線・大陰線
大陽線…始値から終値にかけて大幅に上昇したときに出現。買いの勢いが強いことを表し、その後も上昇が続く可能性が高い。
大陰線…始値から終値にかけて大幅に下落したときに出現。売りの勢いが強いことを表し、その後も下落が続く可能性が高い。
小陽線、小陰線
小陽線…始値から終値にかけて小さく上昇した時に出現する陽線
小陰線…始値から終値にかけて小さく下落した時に出現する陰線
十字線
十字線…始値と終値が同価格で実体部分がない。トレンドの転換期によく現れる。
ローソク足の売買シグナル
ローソク足に含まれる4本値(始値、終値、高値、安値)の組み合わせや値幅には多彩なバリエーションがあります。1本のローソク足の形状から、その後の上昇・下落の気運を予測することもできます。
丸暗記する必要はありませんが、以下に陽線・陰線の代表的なパターンをまとめていますので、お役立てください。
大陽線のパターン
陽の丸坊主
始値が最安値、終値が最高値となったときに出現。上ヒゲ、下ヒゲが無く、買い手の勢いが強いことがわかる。
陽の大引け坊主
始値から少し下落し、その後大きく上昇して高値と終値が同価格の陽線。陽の丸坊主と同様に、買い手の勢いが強いことがわかる。
陽の寄り付き坊主
寄り付きから勢いよく上昇し、高値から少し下落したところが終値となっている陽線。強い上昇があったものの、終盤になって高値圏への警戒感が出てきたことが読み取れる。
大陰線のパターン
陰の丸坊主
始値から終値にかけて大きく下落したときに出現する陰線。売りの勢いが強いことがわかり、さらなる下落を示唆する。
陰の大引け坊主
始値から少し上昇したものの、その後は終値まで大きな下落が続いたときに出現する陰線。陰の丸坊主と同様に、売り手の勢いが強いことを意味し、下落が続きやすい。
陰の寄り付き坊主
始値から大きく下落し、安値から少し上昇した位置に終値をつけた陰線。売られ過ぎへの警戒感が出てきたことが読み取れるので、上昇に転じる可能性があるといえる。
小陽線のパターン
下影陽線、陽のカラカサ
始値から大きく下落して安値をつけ、そこから大きく上昇した時に出現する陽線。買い手の勢いが強く、その後も上昇する可能性が高い。
上影陽線、陽のトンカチ
始値から大きく上昇したが、高値をつけたところから下落に転じ、始値よりわずかに高い終値をつけたときに出現。下落気運を示す陽線。
陽のコマ
価格が大きく上下し、終値が始値をわずかに上回って引けた陽線。買い手と売り手の勢力が拮抗しており、相場の迷いを示す。
小陰線のパターン
下影陰線、陰のカラカサ
始値から大きく下落したものの、安値を付けた後に買い手の勢いが強くなり、終値が始値をわずかに下回って引けた陰線。買い手の勢いが強い上昇気運を示す。
上影陰線、陰のトンカチ
始値から大きく上昇したものの、高値を付けた後に失速し、始値をわずかに割れて引けたときに出現する陰線。売り手の勢いが強いことが読み取れ、その後も下落する可能性が高い。
陰のコマ
価格が大きく上下し、終値が始値をわずかに下回って引けた陰線。買い手と売り手の勢いが拮抗していることを示す。
十字線のパターン
トンカチ
上ヒゲが無く、下ヒゲが長い十字線。買い手の勢いが強く、上昇気運であることを示す。
トウバ
下ヒゲがなく、上ヒゲが長い十字線。売り手の勢いが強く、下落気運であることを示す。
足長同時線
上下に長いヒゲがある十字線。買い手と売り手の拮抗しており、相場の方向性に迷いがあることを示す。
まとめ
最後にこのページのポイントをまとめます。
ローソク足とは、一定期間の為替レートの変動をひとつの記号に表したもの。
1本のローソク足からは、「始値」「終値」「高値」「安値」の4つの情報を得ることができる。
始値より終値の方が高いローソク足を「陽線」、始値より終値の方が安いローソク足を「陰線」という。
1本のローソク足が形成されるまでの期間によってチャートの呼び方が異なり、1本で1時間の値動きを示すローソク足で構成されるチャートを「1時間足」、1本で1日の値動きの場合は「日足」と呼ばれる。
ローソク足の形状には4本値(始値、終値、高値、安値)の組み合わせや値幅によって、多彩なバリエーションが存在する。ローソク足の形状は、その後の値動きを予想するための貴重な情報源となる。
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