移動平均線を使ったエントリー②~ゴールデンクロスとデッドクロス~

移動平均線は多くの投資家に親しまれており、相場環境の分析においては必要不可欠な存在です。このページでは複数の移動平均線によって売買のタイミングを見極める「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」についてご説明していきます。大きなトレンドをキャッチするために非常に有効な手法となりますので、ぜひ覚えておいてくださいね。

複数の移動平均線によるトレンド分析

過去の記事でもご説明しましたが、移動平均線によってトレンドを知るには「向き」と「ローソク足との位置関係」を見るのが最もシンプルな方法です。

  • 移動平均線が上を向いており、ローソク足を下から支える構図→上昇トレンド
  • 移動平均線が下を向いており、ローソク足を上から抑える構図→下降トレンド

チャートに時間軸の異なる複数の移動平均線を表示させると、違った時間軸のトレンド方向を把握できるだけでなく、売買のタイミングを掴みやすくなります。短期的なトレンドを見るなら短期の移動平均線、長期的なトレンドを見るなら長期の移動平均線の向きを確認するということです。

 

短期、長期の移動平均線を組み合わせたチャート

ここからは実際のチャートに短期(20SMA:赤)と長期(75SMA:青)の移動平均線を表示させて、トレンド分析をしていきます。

例①短期的、長期的ともに上昇トレンド

上図のオレンジで塗りつぶした部分では短期、長期ともに移動平均線が上向きで、ローソク足を下から支える構図となっています。短期、長期の両方で上昇トレンドが発生していますので、短期的な押し目で買いポジションを建てていくのが有効な局面となります。

例②短期的には上昇トレンド、長期的には下降トレンド

上図のオレンジで塗りつぶした部分では、短期的には移動平均線が上向きでローソク足がその上に位置する上昇トレンドとなっています。一方で、長期的に見ると移動平均線が下向きでその下側にローソク足が位置する下降トレンドです。短期志向の投資家による買い注文、長期志向の投資家による売り注文の思惑が交錯し、値動きが膠着または荒れやすくなります。上か、下か、方向性がハッキリしてからポジションを建てていくのが得策でしょう。

2本の移動平均線のクロスでエントリー

上記の通り、短期と長期の移動平均線が接近する局面では売買の思惑が交錯しやすくなります。しかし、上下どちらかに突き抜けたあとは大きな上昇や下落が起きやすくなります。テクニカル分析においては2本の移動平均線の交差を「ゴールデンクロス」、「デッドクロス」と呼びます。実際のチャートを見ながら、売買シグナルとしての活用法をご説明していきます。

ゴールデンクロス

ゴールデンクロスとは、短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けることを指します。短期的な買い手の勢いが長期的な売り手の勢いに勝つタイミングで起きる現象ですので、買いのシグナルとなっています。

デッドクロス

デッドクロスとは、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜けることを指します。短期的な売り手の勢いが長期的な買い手の勢いに勝つタイミングで起きる現象ですので、売りのシグナルとなっています。

偽のシグナル(ダマシ)には要注意

シンプルでわかりやすいが、必ずしもゴールデンクロスで上昇、デッドクロスで下降するわけではありません。売買のシグナルが出てもその通りに動かない偽のシグナル(ダマシ)が発生することもあることも理解しておかなければなりません。そこで、ゴールデンクロス、デッドクロスがダマシになりやすいパターンを2つご紹介します。

①長期線の角度

一つ目は短期移動平均線と長期移動平均線の角度です。

上図のように

  • ゴールデンクロス時に長期の移動平均線が強い下向き
  • デッドクロス時に長期の移動平均線が強い上向き

クロスは一時的なものとなりやすく、ダマシが起きやすいパターンです。

上図のように長期の移動平均線の角度が緩やかになっていること、つまり

  • ゴールデンクロス時は長期の移動平均線が下向きから横向き
  • デッドクロス時は長期の移動平均線が上向きから横向き

になろうとしていることを確認してからエントリーすると良いでしょう。

 

②レンジ相場でのクロス

レンジ相場では、長期の移動平均線に方向感が無く、ゴールデンクロス、デッドクロスがダマシになりやすくなります。為替レートが長期の移動平均線を上下するような状況ではエントリーを控えた方が良いでしょう。

クロスを確認する移動平均線の期間設定

ゴールデンクロス、デッドクロスの基準にする移動平均線は短期と長期の期間設定の組み合わせによってエントリーの精度や頻度が変わってきます。エントリーの基準にするのにオススメの組み合わせを2つご紹介します。

 

オススメの設定値①20MA、75MA

20MAと75MAは上記の例で使用した組み合わせです。短期、長期ともに多くの投資家に使われている期間設定なので、ゴールデンクロスやデッドクロスも意識されやすくなっています。クロスが起きるタイミングはそれほど多くありませんが、そのぶん長期に渡る大きな上昇、や下降が期待できます。

オススメの設定値②5MA、20MA

短期移動平均線として20MAを使用している投資家が多く、相場の方向性に大きく影響します。20MAよりさらに期間の短い5MAとのクロスでエントリーのタイミングを取っていくのもオススメです。クロスが起きるタイミングが多いぶんダマシも起きやすくなります。20MAの向きや上位足の状態を確認しながら、より良いタイミングを選定する必要があります。また、クロス後の上昇、下降も短期的なものになりやすいので早めに利益を確定させていくこともポイントです。

パーフェクトオーダーとは

3本の移動平均線をチャートに表示させている投資家も多く、その位置関係でトレンドの強弱を把握することもできます。短期・中期・長期の移動平均線が完璧に並んだ状態を「パーフェクトオーダー」と呼び、トレンドが強いことを示します。

 

  • 上から短期、中期、長期の順番で並んでいると「上昇のパーフェクトオーダー」となります。短期や中期の移動平均線に接近した時の押し目で買いエントリーするのがオススメです。
  • 上から長期、中期、短期の順番で並んでいると「下降のパーフェクトオーダー」となります。短期や中期の移動平均線に接近した時に戻り売りエントリーがオススメです。

 

3本の移動平均線の設定値
パーフェクトオーダーの基準にする移動平均線の組み合わせについても投資家の好みが分かれます。「5MA,20MA,75MA」「20MA,40MA,75MA」「20MA,75MA,200MA」などの組み合わせがよく用いられており、オススメです。上図のチャートには「20MA,40MA,75MA」を表示させています。

まとめ

最後にこのページのポイントをまとめます。

 

複数の移動平均線によるトレンド分析

期間の異なる移動平均線をチャートに表示させることで、多方面からトレンド分析を行うことができる。

例①短期:上昇トレンド、長期:上昇トレンド

短期、長期の移動平均線が上を向いており、ローソク足を下から支えるような構図になっているときは、強い上昇トレンドであることを意味している。

例②短期:上昇トレンド、長期:下降トレンド

短期では上昇トレンド、長期では下降トレンドといった状況では、短期志向の投資家の買い注文、長期志向の投資家の売り注文の思惑が交錯する。手を出しにくい相場環境といえる。

 

ゴールデンクロスとデッドクロス

ゴールデンクロスとは、短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けること。買いのシグナルとして投資家から認識されている。

デッドクロスとは、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜けること。売りのシグナルとして投資家から認識されている。

 

※偽のシグナル(ダマシ)に要注意

①長期移動平均線が下を向いている状態でのゴールデンクロス、長期移動平均線が上を向いている状態でのデッドクロスは偽のシグナル(ダマシ)になりやすい。

②相場に方向感がなく、長期移動平均線を中心にレートが上下しているようなレンジ相場では、ゴールデンクロス、デッドクロスともに偽のシグナル(ダマシ)になりやすい

 

パーフェクトオーダーについて

3本の移動平均線の位置関係でトレンドの強弱を分析する方法もある。短期・中期・長期、3本の移動平均線が完璧に並んだ状態を「パーフェクトオーダー」という。

上昇のパーフェクトオーダー

上から「短期→中期→長期」の順番になっている。強い上昇トレンドであることを示す。

下降のパーフェクトオーダー

上から「長期→中期→短期」の順番になっている。強い下降トレンドであることを示す。

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