投資においてリスクとリターンは比例します。大きな利益を得るには、相応のリスクを取らなければなりません。
投資で利益を上げるためには、リスクとうまく付き合い、管理していくことが必要不可欠です。
FXには、為替変動リスク、金利変動リスク、流動性リスク、地政学リスクなど多くのリスクが潜んでいます。
このページでは、それらのリスクと対策について解説していきます。
投資における「リスク」とは
リスクを直訳すると「危険」ですが、投資におけるリスクは「不確実性」、つまり「収益率のブレ幅」を意味します。
「ローリスク・ローリターン」や「ハイリスク・ハイリターン」という言葉をよく聞くと思いますが、これはリスクとリターンの関係性を示す言葉です。
投資においてリスクとリターンは表裏一体。
取り組もうと思った投資方法にどれだけのリスク(収益率の振れ幅)があるのかは、知っておく必要があります。
■ローリスク・ローリターンの投資
預貯金、定期預金、国債、外貨預金 など
■ミドルリスクミドルリターンの投資
国内不動産、REIT、投資信託、国内株式 など
■ハイリスク・ハイリターンの投資
FX、先物取引、海外株式、海外不動産 など
リスクが高くなればなるほど、元本割れの可能性も高まりますが、リスクを取ったぶん、成功すれば大きなリターンを期待できます。
FXは「ハイリスク・ハイリターン」の投資方法です。その裏に潜むリスクを事前に知り、コントロールすることが重要となります。
FXの主なリスク
FXの代表的なリスクは、「為替変動リスク」「金利変動リスク」「流動性リスク」「地政学リスク」の4つです。
ここからは、それらの特徴やリスクヘッジのための対策をご説明していきます。
為替変動リスク
FXのトレードをされる多くの方が狙うのは為替差益です。
ポジションを建てた後の為替レートの動きが思惑通りであれば利益が出る一方で、思惑と反する動きをすれば損失が発生します。
このリスクを「為替変動リスク」といいます。
レバレッジをかけて取引ができるFXでは、小さな資金でも多額の損失を抱えてしまう恐れもあります。
ですから、FXを始める投資家がまず、最優先で管理すべきなのが「為替変動リスク」なのです。
前回の記事
でもご説明しましたが、含み損が膨らむと、FX会社による強制決済が行われてしまいます。
寝ている間に口座資金がすべてなくなっていた・・・ということにもなりかねません。
大切な資金を失わないように、しっかりとリスクへの対策をしておきましょう。
為替変動リスクへの対策
①利食いと損切りのルールを決めてからトレードする
トレードを始める前にどれぐらいの利益を狙い、どれぐらいの損失を許容するのかを決めます。
ポジションを建てる際には、利益と損失を確定させる価格を設定しておきましょう。
利食いと損切りのルールを設定し、それを忠実に守ることが為替変動リスクへの対処において最も重要です。
②相場の分析力を磨く
損切り注文を入れておくことに加えて、相場の分析力を磨くことも為替変動リスクへの対策となります。
値動きを予測する精度が高まれば、トレードを有利に進めることができます。
FXの相場分析は「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」の2つに大別できます。
ご自身のトレードスタイルに合わせて、両者をバランスよく勉強するとことが勝率アップにつながります。
金利変動リスク
FXには取引する2国間の金利差によって発生する「スワップポイント」という収入源もあります。
各国の金利は定期的に見直され、スワップポイントもそれに応じて変動します。
現在は低金利である日本やスイスの金利が上がっていくことも考えられますし、高金利状態にあるアメリカが利上げを継続する保証もありません。
金利の変動による利益・損失のブレ幅のことを「金利変動リスク」といいます。
金利変動リスクへの対策
①経済ニュースなどで金利情報をキャッチする
金利変動リスクへの対処で最もベーシックなのは、ニュースをチェックして金利の情報をキャッチすることです。
ネットや新聞、テレビなどのメディアから気軽に情報収集ができますので、投資対象としている国の金利状況は定期的に確認しておくようにしましょう。
②長期で保有するポジションはスワップポイントにも考慮する
スワップポイントの受け取り、支払いは日をまたいでポジションを保有する際に発生します。
その日のうちにポジションを決済する「デイトレード」や「スキャルピング」といった短期的な投資であれば気にする必要はありませんが、長期に渡ってポジションを保有する場合はスワップポイントによる利益・損失も考慮しておきましょう。
流動性リスク
FXの投資対象となる通貨は、それぞれ流通量が異なります。
米ドル、日本円、ユーロといった「メジャー通貨」は流通量が多く、基本的に買いたいときに買うことができ、売りたいときに売ることができます。
逆に、南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソといった「マイナー通貨」は、時期や時間帯によっては取引が活発に行われず、売買注文が成立しないこともあります。
FXにおける流動性とは「換金のしやすさ」であり、それに伴うリスクを「流動性リスク」といいます。
流動性が低い通貨で「大きな含み損があるポジションが決済できない」、「損切り注文が約定しない」といったものが、流動性リスクの代表例となっています。
流動性リスクへの対策
①流通量の多いメジャー通貨をメインにトレードする
流動性リスクへの対処で基本となるのは、メジャー通貨を取引することです。
米ドル、日本円、ユーロ、英ポンドなど、流通量の多い通貨をメインにトレードをすると良いでしょう。
②流通量の少ないマイナー通貨で大きなポジションを建てない
流動性の低いマイナー通貨には大きな資金を入れず、メジャー通貨の時よりも小さなポジションで運用する方が良いでしょう。
「絶対に投資対象にしない方が良い」とまでは言いませんが、メジャー通貨よりリスクが高くなることを頭に入れておきましょう。
地政学リスク
自然災害や戦争、政治的な衝突や不安も相場と密接な関係にあります。
地震や台風などによって国のライフラインが脅かされることは、景気にとってはマイナス要因となり、その国の通貨も売られやすくなります。
また各国の要人の発言、金や原油などの資源価格の変動も為替に多大な影響を及ぼします。
トランプ大統領が「ドル高は米国にとって不利だ」と言えばドルは売られやすくなりますし、世界的な経済危機が起こると共通の資産である金が買われやすくなります。
原油価格が下落すると、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの資源国の通貨は売られやすくなります。
地政学リスクへの対策
①ニュースをチェックして、情報収集する
地政学リスクにおいても、最も重要となるのは「情報収集」です。
「世界で何が起こっているのか?」「投資家がどの国の何を不安視しているのか?」を知っているだけで損失が防げることもあります。
②政情が不安定な国の通貨の取引を避ける
情報収集したうえで、地政学的に不安のある国の通貨の取引を避けることもリスクヘッジになります。
新規の注文を控える、投入している資金の一部または全部を他の投資対象に移すなどが具体例です。
まとめ
最後にこのページのポイントをまとめます。
投資におけるリスクとは「不確実性」、つまり「収益率のブレ幅」のこと
投資においてリスクとリターンは表裏一体。リスクを事前に知り、コントロールすることが重要。
【 FXの主なリスク 】
①為替変動リスク
→トレードを始める前に利食いと損切のルールを決めておく
→相場の分析力を磨く
②金利変動リスク
→経済ニュースをチェックして、情報収集する
→ポジションを長期保有する場合はスワップポイントによる利益・損失も考慮しておく
➂流動性リスク
→メジャー通貨(米ドル、日本円、ユーロ、英ポンドなど)をメインに取引する
→マイナー通貨(南アランド、トルコリラなど)には大きな資金を投入しない
④地政学リスク
→ニュースをチェックして、自然災害や政治的な不安を把握しておく
→政情が不安定な国の通貨は取引を控える、取引量を減らす
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